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Cubase内蔵プラグインの解説と使い方の話

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その使い勝手の良さと、備えるプラグインの豊富さ、内蔵音源の多さにより、
多くのミュージシャンに愛されているであろうDAWソフト「Cubase」。

ドイツのSteinberg社から発売されているこのソフト、

その他デザインや機能も素晴らしく、
全く非の打ち所のない楽曲制作ソフトといっても過言ではないだろう。

そんな「Cubase」の魅力について語っていきたいわけだが、
今回紹介するのは、「Cubase」に内蔵されているプラグインについて。

「Cubase」には膨大な数のプラグインが付属されており、有料のものを買い足さなくても、

十分なミックスが可能だ。

その種類と使い方について考察していきたいと思う。

どうすれば楽曲のミキシングが上達するのか、悩む人も多いかと思うので、

そんな方にも参考になるように、
プラグインの使用例を取って説明していくことができたらいいと思う。

 

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Dynamics系

 

これは楽曲制作ソフトにおける、
いわゆる音圧を変化させるためのプラグインと言えるだろう。

よく巷では音圧競争などと呼ばれているほど、
音圧は楽曲制作において大事な要素である。

音圧を上げるとは簡単に言ってしまえば、

空間を変化させることで音の入るスペースを生み出すことにより、
音量を稼ぐと言ったイメージで捉えておけば良いだろう。

そのために用いられるのが、Compresserというプラグインである。

これは大きな音をプレス、潰して小さな音を持ち上げる効果がある。

そのため全体として音量が下がってしまうと懸念されるかもしれないが、
実際は小さな音を持ち上げてくれるのでバランスが良くなり、音量はむしろ上がる。

まずはこのことをよく理解する必要がある。

ミックスにおいて重要なのは、いかに音量を上げるかということよりも、
いかにバランスをよくすることができるかということに徹するべきであるし、

いわゆるいい楽曲に近づけることができるはずだ。

各楽器の音の張りを生み出すためにもこのプラグインは使われる。

ドラムのスネアに挿せば、乾いた音を作り出すことができるし、
バスに挿しても迫力のある低音を生み出すことができる。

コンプの使い方の注意点として、ゲインリダクションで下げた以上にゲインを上げない、

ということが挙げられる。

具体的にはバイパスとオンを繰り返し、コンプ圧縮前と圧縮後で聴感上同じ大きさになるように、

ゲインを調整するのが基本だ。

もちろんこれは基本の音を整える、という使い方で、ビンテージコンプなどはその機材特有のサチュレーション、味付けを求めてあえてレベルを突っ込む場合もある。

Limiter

 

Dynamics系に関わってくるものだが、Limiterというものがある。

これは主にマスタリングの時に重要になってくるもので、

リミッターは入り音と出音を調整することで、

これ以上音を出したら潰れるギリギリのところまで、
音圧を上げることができる。

そのため判定はシビアであり、慎重にメモリを調節する必要がある。

マスタリングでは音圧を稼ぐために、
コンプとリミッターはセットとして用いられる。

コンプで音のバランスをある程度整え、
リミッターで一気に音圧を稼ぐといったような具合だ。

音圧を上げすぎると汚い歪みが生じ始めるので使い方は難しいところ。

ミックスにおける仮マスタリングとして、
曲の仕上がりをある程度把握するためにリミッターが用いられることもある。

リミッターの注意点として、
入り音と出音のバランスが取れないと、

音数が少ない時に大きい音になり、
音数が多い時に音量が小さくなってしまうという現象が起きてしまう。

そのためバランスをいかに取りながら、
音圧をどれほどまで稼ぐことができるかが重要になってくる。

音圧を上げるもう一つのプラグインにMaximaizerというものがあるが、
こちらは単純に音圧の上げ下げを行うものになるので、

音圧上げという目的においてはより扱いやすいという特徴がある。

 

Distortion

 

いわゆる歪みである。

歪みはその通り音をあえて濁すことで汚らしく渋い雰囲気を出すことができる。

主にロックミュージックに多用され、
ギターのアンプの歪みとしても広く知られている。

Cubase内臓のDistortionはいくつかあり、

DaTubeというサチュレーターに近いプラグインをかますことで、
少し真空管を通したような質感を得られたり、
昔のレコーダーのような枯れたサウンドに近づけることもできる場合がある。

Ampsimulater系を使えば、アンプラックを組むことができ、
歪ませたロックギターの音を再現することも可能になる。

しかし歪みのプラグインはあくまでも使うタイミングを慎重に選ばなければならなく、
使い所が難しいところ。

歪ませすぎて潰れた音は多くの場合不快に感じてしまう。
耳障りでない歪みを作り出すために、DAWソフトも日々進化を遂げている。

うまく使いこなせば間違いなくかっこいい楽曲に仕上がる。

個人的にはあまり音を歪ませない、
クリーンとディストーションの間くらいの音質と捉える、

クランチトーンと呼ばれる音を好む。

多くの楽曲でギターのクランチトーンは活躍しており、
綺麗だけどどこか攻撃的なサウンドを奏でることができるのである。
 

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Delay、Reverb系

 

DAWでの楽曲制作において、
重要なポイントとして忘れてはならないものに、

Delay、Reverb系がある。

これはいわゆる空間系と呼ばれるもので、

楽器や音の空間を調整することによって広がりや奥行きをを出し、
音の配置バランスなども整えることもできるというものになる。

Delayはいわゆるピンポンのような跳ね返る音を表現することができ、
うまく使いこなせば面白い楽曲を生み出すことができる。

Feedbackやディレイの周期、
ミックス具合をいじることで、音を変化させる。

周期が短ければ短いほどその効果も短くなり、
地下室やコンクリートに覆われた部屋などでの声の響き方に似た、

音が反射するがあまり長いこと反射しない感じを作り出すことができる。

周期が長ければ長いほど、ディレイ効果のかかる感覚も広がる。

Reverbは残響、
つまり音をどのくらい止めることができるかを調節することができる。

リヴァーブが深いとゆっくりじわじわねっとりと音が消えてゆく、
なんとも艶かしい雰囲気を作り出すことができる。

また、楽器の奥行きなんかも表現できるため、
リヴァーブの開始位置をずらすことで、

楽器を前に配置したり後ろに配置したりすることが可能になる。

ピアノなどの余韻を作り出すこともできる。

リバーブを使うメリットとして、各楽器をなじませる、という事が挙げられる。

そして、これはルーム系のリバーブを使って行われる事が多い。

リバーブのルーティングの基本としては、まずステレオバストラックを作り、各トラックからそちらのトラックへセンドで送って使う。

送る場合はポストフェーダーが基本だ。

ポストフェーダーとは、その送る元のトラックのフェーダーの上げ下げまで反映した音を

リバーブトラックに送るという意味。

プリフェーダーとは、元のトラックのフェーダーの直前までの音を送るという意味。

この場合、センドのつまみでリバーブトラックへ送る量を完全調整する形になる。

少々脱線するが、プリフェーダーはDTM上で行うリアンプや、音作りに使うことが多い。

例えば、ライン録音のベースやギターにアンプシュミレーターをかける時は完全ドライのトラックと、アンプシュミレーターをかけたトラックとを混ぜて使う。

具体的にはドライトラック、アンプ1トラック、アンプ2トラック。

これを1つのトラックへ送って、ギター1という音として使うのである。

このまとめたトラックに送った後は軽くコンプをかけて、この3つの音をくっつけてあげる。

こういったアプローチはスネアなどでも良く行う。

プロが使っているテクニックであるから覚えておいて損はない。

この時は必ず、WET100%。

さらにリバーブ音にコンプ、EQをかけて調整する事が基本である。

EQ

これは「イコライザー」と言って、
音色をいじることができるものである。

EQをいじると音色がガラッと変わるので、
聴こえ方もずいぶん変わってくる。

帯域ごとに音を変化させることができ、

ミックスに慣れてくると、どの帯域が余分だとか、
持ち上げたいとかが分かってくる。

Cubase付属のものだと、
CEQ-10、CEQ-30、studioEQなどがあるが、

特につまみが多くいじって変化が分かりやすいCEQ-30がお勧めである。

このEQは帯域を30分割してそれぞれの帯域を変化させることができる。

そのため、金物が少しうるさいと感じたり、
低音をもうちょっと軽くしたいという時は、ここをいじって変化させる。

EQの振り幅は変更することもでき、
より深くすることで変化も大きくさせることができるが、

その判定もシビアになってくる。

EQをいじることは、人間の耳が聞き取れる音域などは決まっており、
さらにその中で気持ちいい帯域を突き詰めていく作業になるため、

大体のミックスやマスタリングは、
このEQをいかに駆使するかによって曲のクオリティも変わってき、

「EQを征する者は作曲を征する」とも言えるのではないだろうか。

そのくらいEQは楽曲制作において重要なものなのである。

EQというのは使い方が人によりかなり変わる。

教則本を鵜呑みにしない事が大切である。

私のEQの使い方としてはまずローパスで不要な帯域を削る。

これは音が変わらないレベル。

その音を聞いて、不快な音を探す、あればそれをカット。

この不快な音というのは、その楽曲のその場面で鳴っているキーから

大きく外れて耳障りな音ということだ。

これはブーストしないとわかりづらいかもしれないが、ピーク処理的なアプローチで

そういった音を抜いていくとパワー感は無くなるが、音の棲みわけが良くなる。

EQの使い方はカットが基本である。

位相がずれるためだ。

位相がずれるというのはざっくり言うと調整した部分がぼやけて聞こえるということ。

ブーストよりカットの方がまだ位相がブレにくいため、カット方式を基本とすることをオススメする。

とはいえ、私は普通にブーストもしている。

あと、大事な点として、EQを使うとピッチが変わるという事だ。

音作りでピッチも整えている場合、その辺りを考えないでEQを使ってしまうと、

ピッチがぐちゃぐちゃになり、曲が破綻する。

完全に整える必要はないが、心地よいピッチ感になるようにEQで整えていく必要がある。

 
 

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Modulation系

これは楽曲制作ソフトにおける、
曲の変化球とも言えるもので、音質を変えたり音感を変えることができるプラグインと言えるだろう。

例えばフェイザーは、

フィードバックという音を残存させる効果を利用することで、
どこかへワープしているような不思議な効果を得ることができるし、

フランジャーは、

上下運動を繰り返しアクロバティック飛行をする、
戦闘機のような音の効果を得ることができる。

他にもパンを振り分けて移動させることができたりと、
遊び要素満載の効果とも言えるだろう。

オートメーションでもパン振り分けはやってもいいが、

面倒な場合こうしたプラグインを使う事もある。

音の数が少ない曲などを聞いてみると、各楽器が微妙に動いている、ように聞こえる事がある。

これは実際にオートメーションをかけて動かしているのだ。

空間系と併用することでまた面白い効果を生み出すこともできるため、
ぜひ自身の楽曲に活用してみてもらいたいものだ。

 

まとめ

内蔵される様々なプラグインを駆使し、
ぜひ納得のいく作品を作り上げていただきたい。

そのためには、
使うべきところに使われるべきプラグインをしっかり差し込んでやる必要がある。

慣れてくれば、どこに何を使えばいいのかが大体分かってくるので、
とにかく音をよく聴き、試行錯誤を繰り返すことをお勧めする。
 

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