経理の仕事

簿記の勉強通りにやると実務でつまづく点があったりする件について

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固定資産の売却等を実務で処理する場合、簿記検定の勉強が役に立たない事もある

実務といっても、会計ソフトで仕訳を入力する段階における話です。

簿記検定の勉強をされた方が、会計ソフトで固定資産の売却、有価証券の売却などの仕訳処理をする際に起こりやすい事例です。

 

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例・取得価額200円、減価償却累計額100円の車を期中に50円で売却した。
 

できるだけシンプルに話を進めたいので、直接控除法、期首から売却日までの減価償却は考慮しないものとします。

金額が小さかったり、月次で損益をチェックしていないような会社(会計事務所における年次契約のような形)においては、売却日までの償却費はやらないことも多いです。
やらなかったら、その分が固定資産の売却損益に絡んでくるだけなので、損益は変わりません。

 
 

簿記の勉強の仕訳

現預金 50   /  車両  100

固定資産売却損 50

勉強だとこんな感じになると思います。
消費税の免税事業者であれば、この仕訳でもOKです。

ただし課税事業者の場合、会計ソフトでこの通りに仕訳を打つと、つまづきやすい点があります。

 

現預金 50 (不課税) /  車両  100 (???)
固定資産売却損50 (不課税)

?の部分、車両の部分を課税売上で処理をしてしまう。
簿記や消費税を知っていても、結構ありがちなミスです。

 
 

消費税の税金の計算上、50円で車を売った場合、50円の収入(課税売上)を認識する必要があります。
実務の場合、会計ソフトは決算書だけではなく、消費税の計算も兼ねています。

簿記上の話だけではなく、消費税も会計ソフト上で集計されるように仕訳を調整する必要が出てくるのです。

上記の例ですと、貸方は車100円のみになっているので、50円の課税売上を付すことができません。

どうすれば良いのでしょうか。

(厳密には車を50円2本にすればできますが、仕訳として美しくないので、無しにいたします)

 

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仕訳の例

消費税の課税売上、50円を認識するために仮勘定をかませます。

税込経理の場合、
例えば、

現預金(不課税) 50  /   雑収入 50 (課税売上)

雑収入 50(不課税) /  車両 100 (不課税)

固定資産売却損 50 (不課税)

 

こんな感じでやります。
雑収入は固定資産売却損益辺りでやる人もいます。

 

税抜き経理ですと、

 

現預金(不課税)50 / 雑収入  46 (課税)
                 /仮受消費税 4

雑収入 46 (不課税) /車両 100 (不課税)

固定資産売却損 54 (不課税)

固定資産売却損のところが消費税認識分だけずれる感じになります。

 

あとがき

初めの仕訳は簿記の話だけですと、当然に正しいのですが、実務で消費税の計算を考える上では、微妙に調整が必要になってきます。

ちなみに消費税の課税事業者の場合、実務では税抜経理の方が多いです。
税込経理、税抜経理はどちらも利益は変わりませんが、税金の計算上は税抜経理の方が有利だったりします。

交際費として支出した飲食代を税金の計算上の交際費から外す事のできる規定(俗に言う5,000円基準)や、資産を1発で経費に落とせる少額償却の判定を税抜で行う事ができるためです。

 

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